
目次
13.企業秘密の漏洩を防ぐ対応
参考就業規則条文
第○○条(秘密情報管理義務)
従業員は、在職中及び退職後において、会社の秘密情報(顧客名簿等の顧客に関する
情報、営業に関する情報、授業のプロブラムに関する情報、教材に関する情報、会社の
ノウハウ及び新たな企画案等流出により会社の利益を損なうおそれのあるもの一切の情
報をいう。)を社外に漏洩してはならない。
2.会社の秘密情報は、会社の許可なく複写してはならない。また、会社の秘密情報を記
録した文書、写真、電子記録媒体その他これに類する一切の資料及びその複写物は、こ
れを社外に持ち出してはならない。ただし、業務上の必要があり、上司の許可があると
きはこの限りではない。
【営業秘密管理規程】
第1条(目的)
この規程は、当社の営業秘密の管理に関して必要な事項を定めるとともにその適正
な管理および活用を図ることを目的とする。
第2条(適用範囲)
この規程は、当社の取締役、監査役、従業員その他会社の業務に従事する者(以下
「役職員等」という)に適用されるものとする。
第3条(定義)
この規程において各用語の定義は、次に定めるところによる。
(1)「営業秘密」とは、会社が秘密として管理している生産方法、販売方法その他の
事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないも
のをいう。
(2)「営業秘密文書等」とは、文書、図画、写真等の紙媒体に記録されたデータおよ
びフロッピーディスクや磁気テープなどの電子記録媒体や電子計算機等の内部に
記録された電子記録データのことをいう。
第4条(営業秘密の等級)
営業秘密を適性に管理するため、次のとおり営業秘密等級を設ける。
(1)極秘
これを第三者に漏洩等することにより当社が極めて重大な損失もしくは不利益
を受ける、またはそのおそれがある営業秘密であり、原則として指定された者
以外には開示してはならないもの
(2)秘
極秘ではないが、これを第三者に漏洩等することにより当社が重大な損失もしくは
不利益を受けるおそれのある営業秘密であり、原則として業務上の取扱い部門の者以外
には開示してはならないもの
(3)社外秘
極秘、秘以外の営業秘密であり、原則として社内の者以外には開示してはならないもの
2.営業秘密の等級は、別途定める基準に従って、次条第2項に定める管理責任者が決定する。
第5条(管理組織)
当社の営業秘密の管理を統括するため、営業秘密管理統括責任者(以下「統括責任者」という)
を置く。統括責任者は、原則として当社の取締役の中から取締役会の指名により決定する。
2.各部門の長は、それぞれの部門における営業秘密の管理の責任者として、営業秘密管理責任者
(以下「管理責任者」という)をおく。
3.各部門の管理責任者は、部門間にまたがる営業秘密の管理その他必要事項について適正な営業
秘密の管理をおこなうため、随時協議をおこなう。
第6条(営業秘密の指定)
管理責任者は、営業秘密およびその営業秘密等級を指定し、その秘密保持期間および被開示者
の範囲を定めるものとする。
2.管理責任者は、営業秘密文書等に、営業秘密等級を表示するとともに、適切な方法で、営業秘密
である旨ならびにその秘密保持期間および被開示者の範囲を明示する。
3.管理責任者は、日時の経過により当該営業秘密の秘密性に変化が生じた場合には、その都度、
営業秘密等級の変更または営業秘密指定の解除をおこなうものとする。
4.役職員等は、業務の過程で営業秘密となるべき情報を創出した場合には、遅滞な
くその内容を管理責任者に申告するものとし、管理責任者は第1項に従い営業秘密
を指定するものとする。
第7条(営業秘密の管理)
管理責任者は、営業秘密文書等につき、原則として以下の方法により管理するこ
ととする。なお、以下の方法による管理が不可能ないし不適切な場合には、統括責
任者との協議等により、以下の方法に準じた適切な方法よる管理をおこなうことと
する。
(1)保管
営業秘密文書等は、施錠可能な場所に保管し、原則として常時施錠して保管する
こととする。なお、電子計算機本体の保存されている電子記録データ等については、
パスワードの設定等により、特定の者しかアクセスができないような措置をとるこ
ととする。
(2)閲覧等
営業秘密文書等の閲覧については、原則として、事前に管理責任者の事前の承
諾を得た上でおこなうこととし、閲覧に際には、閲覧簿に必要事項を記載するも
のとする。
(3)持出し
営業秘密文書等を保管場所から持ち出す場合には、持ち出す営業秘密文書等を
特定した上で管理責任者の事前の承諾を得た上でおこなう。この場合、持出しお
よび返却の際に、持出し簿に必要事項を記載するものとする。
2.極秘、社外秘の営業秘密の管理については、管理責任者は、前項の管理方法を基本
としつつ、当該営業秘密の性質等に応じた適正な管理等のための措置をおこなうこと
ができる。
第8条(秘密保持義務)
役職員等は、自らの知る営業秘密を、第6条第1項に定める被開示者以外のいかな
る者にも開示または漏洩しないものとする。
2.役職員等は、開示等を受けた営業秘密を指定された業務以外の目的に使用してはな
らない。
3.前二項は、管理責任者の事前承認を得て開示あるいは使用する場合には、これを適
用しない。
第9条(誓約書の提出)
管理責任者は、別途定める様式により秘密保持の誓約書を役職員等に提出させるも
のとする。
2.入社前に他の職場において第三者の営業秘密に接していたと判断される者を採用す
る場合、配属先の秘密管理責任者が必要と認めるときは、当該第三者の営業秘密に侵
害を予防するため、入社時に管理責任者または統括責任者による面接を受け、前項の
誓約書とは別に、必要な内容を定めた個別の誓約書を提出するものとする。
第10条(役職員等に対する周知徹底および教育)
管理責任者は、自らの所属する部門に所属する役職員等に対し、マニュアルを作成
して配布するなどしてこの規程の内容を周知徹底させるために必要な措置をとること
とする。
2.管理責任者は、研修をおこなうなどして営業秘密保護のために必要かつ適切な教育
をおこなうなどして、役職員等の営業秘密保護に対する意識の維持向上をはかるもの
とする。
3.管理責任者は、自らの所属する部門において、この規程に違反する事案が生じたと
きは、その責任を負うものとする。
第11条(退職者等)
役職員等は、退職後も、第8条に定める秘密保持義務を遵守しなければならない。
2.役職員等は、退職時に、営業秘密を社外に持ち出してはならず、また自己の保管す
る営業秘密文書等をすべて会社に返還しなければならない。
3.管理責任者は、役職員等が退職する際、当該役職員等が在職中知り得た営業秘密を
特定するなど、当該役職員等が負う秘密保持義務の内容を確認し、必要な場合には、
個別に誓約書を提出させるなどして、当該退職役職員等が負う退職後の秘密保持義務
の内容を明らかにするものとする。
管理責任者が退職する際は、本項の確認等は統括責任者がおこなうものとする。
第12条(監査)
管理責任者は、この規程に基づく秘密管理レベルを確保するため、所管する部門・業
務分掌単位における監査をおこない、その結果を統括責任者に対して報告する。
2.統括責任者は、前項の報告を受けるとともに、必要に応じて自らあるいは自らの選
任する第三者をして、前項の監査をおこなうこととする。
第13条(営業秘密漏洩に関する調査)
管理責任者または統括責任者は、社内において営業秘密漏洩がおこなわれたという
疑惑が生じたときは、ただちに事実関係の調査をしなければならない。
2.管理責任者または統括責任者は、調査のため必要であると認めたときは、次の方法
により事実関係の調査をすることができる。
(1)関係者からのヒアリング
(2)Eメール等の送受信記録の閲覧
(3)PC等情報端末機器の閲覧
(4)PC等情報端末機器のアクセスログの閲覧
(5)記録媒体の閲覧
(6)その他必要な行為
3.役職員等は、被開示者以外の者が、営業秘密に不正にアクセスしていることを知り
得た場合には、速やかに管理責任者または統括責任者に通報しなければならない。
第14条(営業秘密の開示を伴う契約等)
第三者との間で、当社の業務にかかる製造委託、業務委託等の契約、あるいは当社
の有する知的財産権について実施許諾等の契約、共同開発その他の技術協力を伴う契
約など営業秘密の開示を伴う取引等おこなう場合、当該会社との契約において相手方
に秘密保持義務を課すほか、秘密保持に十分留意するものとする。
2.第三者との秘密保持契約の要否、秘密保持契約の内容の決定等については、統括責
任者に報告し、その指示を受けておこなうものとする。
第15条(他者の秘密情報の取扱い)
役職員等は、業務上第三者の保有する営業秘密を使用する場合は、当該第三者と適
正な契約を締結するなど、その使用に関して適正な手続きをとるものとする。
2.第三者から情報を入手する場合、当該情報の入手に関して適正な契約の締結等をお
こなうほか、当該情報が秘密情報か否か、また秘密情報であるときは、当該秘密情報
の開示にき、当該第三者が適正な権限を有するか否かにつき疑義のある情報は、入手
してはならない。
3.前項により入手する秘密情報については、当該第三者との間で締結する契約等にお
いて、その使用・開示に関して当社が受ける制約条件等を明確にしなければならない。
4.前二項の秘密情報を使用・開示する場合は、前項の当社が受ける制約条件に従うも
のとし、当該秘密情報は当社の営業秘密と同等に取り扱うものとする。
第16条(懲戒処分等)
役職員等が故意または重大な過失により、この規程に違反した場合には、就業規則
その他の規程に定める各種懲戒処分等に照らし、相当な措置等をとることとする。
第17条(損害賠償)
役職員等が故意または重大な過失により、この規程に違反し、会社に損害を与えた
ときは、その損害の全部または一部の賠償を求めることがある。ただし、これによって
各種懲戒等を免れるものではない。
【対応のポイント】
①営業秘密の管理の徹底(不正競争防止法による保護)
営業秘密は、競業者との差別化が図れ、保有者に利益をもたらす重要な情報です。
管理が不十分であれば、今すぐリスク管理として営業秘密管理のための社内ルールを
設け、社内で周知徹底させてください。不正競争防止法で保護されるためには、
「秘密として管理されている」ことが重要で、次の基準が満たされていなければ認められ
ません。
(1)情報の秘密保持のために必要な管理をしていること(アクセス制限)
(2)それが客観的に認められること(客観的認識可能性)
②労務管理が重要
営業秘密の持出しのほとんどは、社員が退職者によって行われます。その原因や
動機には、当人の経済的問題や仕事の評価に対する不備等いろいろなものがあり
ます。こうした人々の行動は、規制や物の管理だけではどうにもなりません。や
はり人の管理、労務管理が重要になってきます。
規則で縛り、罰則を課すだけではなく、社員の問題や不満を聞いて解決すること、
よい働きにはきちんと報いること等を改めて見直す必要があります。
就業規則に関するご相談・お悩みは、和歌山で業歴17年(就業規則が得意分野)の当事務所に
ご連絡・ご相談ください。
まずは、「無料相談30分」をクリックしてみてください。
投稿者のプロフィール

- 社会保険労務士
-
500社以上の就業規則を診断してきた社労士です。
事業所の複雑化する労務管理対策に“気付き”与えるために、常に最新の情報を発信しております。
急激な時代の変遷に伴う「働き方改革」に即対応策を!
新しい投稿
お役立ち記事2023年9月15日企業の安全配慮義務について
お役立ち記事2023年8月29日労務管理
賃金体系に関すること2023年8月20日最低賃金
お役立ち記事2023年8月15日労務管理
【無料】事務所だよりを受け取る場合は・・・
・就業規則で点検すべき箇所がわかる!無料チェックリスト
・実際にあった!危ない就業規則の事例集
・これなら大丈夫!良い就業規則の事例集
などを、事務所便りとしてお送りしています。
最新の人事・労務管理全般の情報をお求めなら、ぜひご登録ください。