就業規則

目次

14.「退職」・「普通解雇」・「懲戒解雇」の違いによる対応

参考就業規則条文

第○○条(解雇)
  従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は解雇とする。
 (1)精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、その他の理由により業務上に耐
   えなれない、又は労務提供が不完全であると認められるとき
 (2)協調性がなく、注意及び指導しても改善の見込みがないと認められるとき
 (3)職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させることができないとき
 (4)勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度のその他の業務能率全般が不良
   で業務に適さないと認められるとき
 (5)特定の地位、職種又は一定の能力を条件として雇い入れられた者で、その能力又は
   適格性が欠けると認められるとき
 (6)会社と従業員との間の信頼関係が損なわれ、雇用の継続が不可能と会社が認めるとき
 (7)天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となり、雇用を維持する
   ことができなくなったとき
 (8)事業の縮小その他会社のやむを得ない事由がある場合で、かつ、他の職務に転換させる
   こともできないとき
 (9)重大な懲戒事由に該当するとき
 (10)前号に該当しない懲戒事由に該当する場合であっても、改悛の情が認められなかったり、
   繰り返したりして、改善の見込みがないと認められるとき
 (11)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき
第○○条(退職)
  従業員が、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは退職とし、次の各号に定める事由に
 応じて、それぞれの定められた日を退職の日とする。
 (1)本人が死亡したとき・・・死亡した日
 (2)定年に達したとき・・・定年に達した日の属する月の末日
 (3)休職期間が満了しても休職事由が消滅しないとき・・・期間満了の日
 (4)本人の都合により退職を願い出て会社が承認したとき・・・会社が退職日として承認した日
 (5)前号の承認がないとき・・・退職届を提出して14日を経過したとき
 (6)役員に就任したとき・・・就任日の前日
 (7)従業員の行方が不明になり、1か月以上連絡がとれないときであって、解雇手続をとらない
          場合・・・1か月を経過した日から14日を経過したとき
 (8)外国従業員に在留資格に期限が満了となり、又は失効した場合であって不法滞在の状態になった
          とき・・・法的に就労できなくなった日
 (9)その他、退職につき労使双方が合意したとき・・・合意により決定した日
第○○条(懲戒解雇)
  従業員が、次の各号に該当するときは、諭旨解雇又は懲戒解雇とする。ただし、情状により、
 前条第○項第○号から第○号までの懲戒とすることがある。
 (1)正当な理由なく、欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じない又は連絡がとれない
   とき
 (2)故意又は重大な過失により、会社の施設、設備に損害を与える等、会社に重大な損害を
   与えたとき
 (3)重要な経歴を偽り採用されたとき、及び重大な虚偽の届出又は申告を行ったとき
 (4)正当な理由なく配転・出向命令等の重要な職務命令に従わず、職場秩序を乱したとき
 (5)暴力、暴言その他の素行の不良で、著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき(セク
   シュアルハラスメント、パワーハラスメントによるものを含む。)
 (6)会社及び関係取引先の重要な秘密及びその他の情報を漏らし、あるいは漏らそうとしたとき
 (7)会社及び会社の従業員、又は関係取引先を誹謗若しくは中傷し、又は虚偽の風説を流布若し
   くは宣伝し、会社業務に重大な支障を与えたとき
 (8)刑罰法規の適用を受け、又は刑罰法規の適用を受けることが明らかとなり、会社の信用を害
   したとき
 (9)会計、決算、契約にかかわる不正行為又は不正と認められる行為、職務権限の逸脱等により、
   金銭、会計、契約等の管理上ふさわしくない行為を行い、会社に損害を与え、その信用を害する
   と認められるとき
 (10)例え軽微な非違行為であっても、再三の注意、指導にかかわらず改悛又は向上の見込みがないとき
 (11)○○に違反する重大な行為があったとき
 (12)第○○章(服務)その他この規則及び諸規程に違反し、又は非違行為の繰り返し、あるいは前各号
   に準ずる重大な行為があったとき

【対応のポイント】
 ①退職とは何か
   労働契約の終了は大きく分けて、①使用者側から行う労働契約の一方的解約、②労働者側から行う労働契
  約の一方的解約、③当事者双方の合意による解約、④自動解約、の4つに分類することができます。これらの
  労働契約終了のうち、①の使用者側からの労働契約の一方的な解約を「解約」といい、それ以外の②~④を
 「退職」といいます。
 ②労働者側から行う労働契約の一方的解約
   民法627条第1項前段では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約
  に申入れをすることができる」とされ、さらに同条後段では、「この場合において、雇用は、解約の申入れ
  の日から2週間を経過」したときには、使用者の承認がなくても労働契約の解約が成立するものとされてい
  ます。
   したがって、退職の2週間前までに使用者に申し出れば、使用者の同意を得ることなく一方的に労働契約を
  解約することができます。
 ③普通解雇・懲戒解雇について
   就業規則には、「普通解雇」と「懲戒解雇」は区別して規定しましょう。
  就業規則に置かれる普通解雇に関する規定は、よくみかける例として、次のようなものがあります。
  「次の各号のいずれかに該当する従業員は解雇する。
  (1)精神または身体の障害により業務に耐えられないとき
  (2)勤務成績または労働能率が不良で、職務に適しないとき
  (3)懲戒事由に該当し、解雇を相当とするとき
  (4)やむを得ない事業の都合によるとき
  (5)その他前各号に準じるやむを得ない事由のあるとき   
  また、就業規則に置かれる懲戒解雇に関する規定も、やはり会社によって様々ですが、懲戒の種類の
 一つとして懲戒解雇を定め、かつ、懲戒解雇事由(あるいは、懲戒解雇事由を含む懲戒事由)を列挙し、
 懲戒(解雇)事由の最後に「その他前各号に準じる程度の不都合な行為があったとき」という事由を記
 載するのが通例です。
 ④解雇事由は限定列挙か、例示列挙か
   使用者が普通解雇あるいは懲戒解雇を行うことができるのは、就業規則に列挙された普通解雇事由
  あるいは懲戒解雇事由に該当する場合に限定されると解する限定列挙説と、列挙された事由に該当し
  ない場合にも、解雇できると解する例示列挙説がありますが、限定列挙説に立つ裁判例も多数あります。
  そのことを念頭において、解雇事由を規定し、また、解雇事由への該当性を検討する必要があります。
  限定列挙説をも想定して、上述したように、普通解雇事由としては、「その他前各号に準じるやむを得
  ない事由のあるとき」、また、懲戒事由としては、「その他前各号に準じる程度の不都合な行為があった
  とき」というような、包括的解雇事由・包括的懲戒解雇事由を置いておくべきです。

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投稿者のプロフィール

赤津 秀夫
赤津 秀夫社会保険労務士
500社以上の就業規則を診断してきた社労士です。

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