
目次
事業場における労働者の健康保持増進のための指針
1 趣旨
近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者
の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、定期健康診断の有所見率が増加
傾向にあるとともに、心疾患及び脳血管疾患の誘因となるメタボリックシンドロームが
強く疑われる者とその予備群は、男性の約2人に1人、女性の約5人に1人の割合に達
している。また、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水
準で推移している。
このような労働者の心身の健康問題に対処するためには、早い段階から心身の両面に
ついて健康教育等の予防対策に取り組むことが重要であることから、事業場において、
全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要である。
なお、労働者の健康の保持増進を図ることは、労働生産性向上の観点からも重要である。
また、事業場において健康教育等の労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ
有効に実施されるためには、その具体的な実施方法が、事業場において確立しているこ
とが必要である。
本指針は、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)第 70 条の2第1項の規定に基づ
き、同法第 69 条第1項の事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の
保持増進のための措置(以下「健康保持増進措置」という。)が適切かつ有効に実施され
るため、当該措置の原則的な実施方法について定めたものである。事業者は、健康保持増
進措置の実施に当たっては、本指針に基づき、事業場内の産業保健スタッフ等に加えて、
積極的に労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医
師会や歯科医師会、地方公共団体又は産業保健総合支援センター等の事業場外資源を活
用することで、効果的な取組を行うものとする。また、全ての措置の実施が困難な場合に
は、可能なものから実施する等、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい。
2 健康保持増進対策の基本的考え方
近年、生活習慣病予備群に対する生活習慣への介入効果についての科学的根拠が国際
的に蓄積され、生活習慣病予備群に対する効果的な介入プログラムが開発されてきた。
さらに、メタボリックシンドロームの診断基準が示され、内臓脂肪の蓄積に着目した保
健指導の重要性が明らかになっている。また、健康管理やメンタルヘルスケア等心身両
面にわたる健康指導技術の開発も進み、多くの労働者を対象とした健康の保持増進活動
が行えるようになってきた。
また、労働者の健康の保持増進には、労働者が自主的、自発的に取り組むことが重要で
ある。しかし、労働者の働く職場には労働者自身の力だけでは取り除くことができない
疾病増悪要因、ストレス要因等が存在しているため、労働者の健康を保持増進していく
ためには、労働者の自助努力に加えて、事業者の行う健康管理の積極的推進が必要であ
る。その健康管理も単に健康障害を防止するという観点のみならず、更に一歩進んで、労
働生活の全期間を通じて継続的かつ計画的に心身両面にわたる積極的な健康保持増進を
目指したものでなければならず、生活習慣病の発症や重症化の予防のために保健事業を
実施している医療保険者と連携したコラボヘルスの推進も求められている。
労働者の健康の保持増進のための具体的措置としては、運動指導、メンタルヘルスケ
ア、栄養指導、口腔保健指導、保健指導等があり、各事業場の実態に即して措置を実施し
ていくことが必要である。
さらに、事業者は、健康保持増進対策を推進するに当たって、次の事項に留意すること
が必要である。
① 健康保持増進対策における対象の考え方
健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目
指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健
康増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団とし
て捉えて実施するものがある。事業者はそれぞれの措置の特徴を理解したうえで、これ
らの措置を効果的に組み合わせて健康保持増進対策に取り組むことが望ましい。
② 労働者の積極的な参加を促すための取組
労働者の中には健康増進に関心を持たない者も一定数存在すると考えられることか
ら、これらの労働者にも抵抗なく健康保持増進に取り組んでもらえるようにすること
が重要である。加えて、労働者の行動が無意識のうちに変化する環境づくりやスポー
ツ等の楽しみながら参加できる仕組みづくり等に取り組むことも重要である。また、
これらを通じて事業者は、労働者が健康保持増進に取り組む文化や風土を醸成してい
くことが望ましい。
③ 労働者の高齢化を見据えた取組
労働者が高齢期を迎えても就業を継続するためには、心身両面の総合的な健康が維
持されていることが必要である。加齢に伴う筋量の低下等による健康状態の悪化を防
ぐためには、高齢期のみならず、若年期からの運動の習慣化等の健康保持増進が有効で
ある。健康保持増進措置を検討するに当たっては、このような視点を盛り込むことが望
ましい。
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投稿者のプロフィール

- 社会保険労務士
-
500社以上の就業規則を診断してきた社労士です。
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