
目次
過労死、過労自殺等に係る裁判例
電通事件
【事案の概要】
大手広告代理店に、平成2年4月に入社した社員Aが2年目(1年5か月目の平成3年8月末)に
自殺したという事案で、両親が安全配慮義務違反による損害賠償請求を勤務先に対して行った。
なお、Aの労働時間については、A自身は申告しているが、過小申告であり、到底実態を反映して
いるものではなかった。認定されている勤務実態は、平成2年4月~8月ころまでは当日中に帰宅し
ていたが、同年8月ころから午前1時、2時に帰宅することが多くなり、平成2年11月ころまでは
遅くとも出勤した翌日の午前4時、5時には帰宅していたが、それ以降は帰宅しない日や原告である
父が利用していた港区の事務所に泊りが多くなった。平成3年7月当時は、出勤しても帰宅しない日
が多くなり、帰宅しても当日の午前6時30分ないし午前7時ころで午前8時には自宅を出るという
ものであった。一審判決は、常軌を逸した長時間労働と述べている。その結果、Aはうつ病にり患し、
自殺した。
一審、控訴審ともに会社の安全配慮義務違反を認めたが、控訴審判決は、3割はA本人または原告
らの過失として損害額の3割を減額した。
【判決の要旨】
(1)使用者の安全配慮義務
使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に
伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する
義務を負う。
(2)安全配慮義務違反について
うつ病の発症等に関する知見を考慮し、Aの業務の遂行とそのうつ病り患による自殺との間には
相当因果関係があるとした上、Aの上司らには、Aが恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事し
ていること及びその健康状態が悪化していることを認識しながら、その負担を軽減させるための措
置を採らなかったことにつき過失がある。
就業規則に関するご相談・お悩みは、和歌山で業歴17年(就業規則が得意分野)の当事務所にご
連絡・ご相談ください。
まずは、「無料相談30分」をクリックしてみてください。
投稿者のプロフィール

- 社会保険労務士
-
500社以上の就業規則を診断してきた社労士です。
事業所の複雑化する労務管理対策に“気付き”与えるために、常に最新の情報を発信しております。
急激な時代の変遷に伴う「働き方改革」に即対応策を!
新しい投稿
お役立ち記事2023年9月15日企業の安全配慮義務について
お役立ち記事2023年8月29日労務管理
賃金体系に関すること2023年8月20日最低賃金
お役立ち記事2023年8月15日労務管理
【無料】事務所だよりを受け取る場合は・・・
・就業規則で点検すべき箇所がわかる!無料チェックリスト
・実際にあった!危ない就業規則の事例集
・これなら大丈夫!良い就業規則の事例集
などを、事務所便りとしてお送りしています。
最新の人事・労務管理全般の情報をお求めなら、ぜひご登録ください。