労働紛争

目次

過労死、過労自殺等に係る裁判例

サン・チャレンジほか事件

【事案の要旨】(つづき)
 さらに、Aは、遅くとも平成20年2月ごろから恒常的に長時間労働を行ない、Y3から
パワハラを受けていたのであり、これらによってAには強度の心理的負荷がかかっていた
といえ、またY3の電話での発信によってAが過度のストレスを受けていたこと等からA
は自殺する数か月前または遅くとも自殺する直前には自殺を惹起させる精神障害を発症し
ていたというべきであり、他方、Aの自殺の原因となる業務以外の要因は認めることはで
きないので、AのY1会社における長時間労働及びY3からのパワハラとAの自殺との間
の相当因果関係が認められ、Y3はAの長時間労働について把握していたのであるから、
パワハラに加えて上記を原因とするAの自殺について不法行為責任を負う。
(3)Y1社の安全配慮義務違反と使用者責任
  使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務
 の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがな
 いよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務
 上の指揮監督を行う権限を有するものは、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限
 を行使すべきである。
  Y1社の労務担当者は、Aの長時間労働を認識していたか少なくとも認識することがで
 きたと言うべきであって、Y3は店長またはエリアマネージャーとしてAに対する指揮命
 令権限を有していたところ、Y3は、Aに対するパワハラの当事者であり、Y1社は、A
 について安全配慮義務を負っていたにもかかわらず、これを怠っていたものと認められるこ
 とから、Y1社には安全配慮義務違反(債務不履行)が認められ、Aの死亡により生じた損
 害に対して、損害責任を負う。
  Y3は、Y1社の被用者といえるところ、Y3の不法行為は、Y1社の事業の執行につい
 て行われたものであるから、Y1社には使用者責任も成立する。
(4)代表取締役Y2の会社法429条1項のの責任
  Y1社においては、業績向上にを目指すあまり、社員の長時間労働や上司によるパワハラ
 等を防止する為の適切な労務管理ができる体制を何ら執っていなかったというべきであるの
 で、Y1社の代表取締役被告Y2は、故意または重大な過失によりAに損害を生じさせたこ
 とから、会社法429条1項による損害賠償責任を負う。

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投稿者のプロフィール

赤津 秀夫
赤津 秀夫社会保険労務士
500社以上の就業規則を診断してきた社労士です。

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