65歳以降の継続雇用に関する問題点について
1. 選定基準が不明確な場合
例: A社では、65歳を迎えた従業員に対して継続雇用を行っています。しかし、誰が継続雇用されるかは、明確な基準が就業規則に記載されていません。その結果、ある従業員は継続雇用を希望しましたが、「会社の方針により」という曖昧な理由で拒否されました。他の従業員は同じ業務内容にもかかわらず、継続雇用が認められています。
問題点: この場合、選定基準が不明確であるため、従業員に不公平感を与え、会社への不信感が高まります。また、基準が明確でないため、後から法的に問題視されるリスクもあります。
改善策: 就業規則に具体的な継続雇用の選定基準を記載し、例えば「業務能力が一定水準以上であること」「過去○年間の勤務実績が評価基準を満たしていること」など、客観的かつ公平な基準を設けるべきです。
2. 運用が恣意的な場合
例: B社では、継続雇用の運用が上司の裁量に大きく依存しています。同じ業務を担当している2人の従業員がいたとして、一人は上司と良好な関係を築いており、継続雇用が認められましたが、もう一人は上司と意見が対立することが多く、継続雇用を拒否されました。
問題点: このような恣意的な運用は、従業員の不満を招き、職場全体の士気に悪影響を及ぼします。また、差別や不公平な扱いとして法的に問題になる可能性もあります。
改善策: 継続雇用の運用に関するガイドラインを明確にし、個々の上司の判断に頼らず、会社全体で統一された基準に基づいて運用することが重要です。また、判断のプロセスを透明化し、従業員に対して説明責任を果たすことも必要です。
3. 就業規則と実際の運用の乖離
例: C社では、就業規則に「原則として全員が65歳以降も継続雇用される」と記載されていますが、実際には、人員削減のため、多くの従業員が継続雇用を打ち切られています。従業員は事前に何の説明もなく、突然継続雇用を拒否されるケースが増えています。
問題点: 就業規則に明記されている内容と、実際の運用が異なる場合、会社への信頼を失うばかりでなく、労働基準監督署からの指導や是正を受ける可能性も高まります。
改善策: 就業規則と実際の運用を一致させることが重要です。必要であれば、就業規則を見直し、現実的に実行可能な内容に改訂するべきです。また、従業員に対しては、継続雇用の方針や実施状況を定期的に周知し、透明性を確保することが求められます。
これらの具体例からもわかるように、就業規則の規範性を高めることは、従業員との信頼関係を維持し、会社の健全な運営を確保するために不可欠です。