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トラック事業場における監督指導の結果

労務管理

トラック事業場における監督指導の結果

2024年10月30日
2023年に厚生労働省が行ったトラック事業場における監督指導の結果、その多くの事業場で労働基準関係法令違反が見られました。以下、ポイントをわかりやすく解説します。

1. 労働基準法令違反の多さ
監督指導が行われた全国のトラック事業場2928件のうち、約82%にあたる2389件で法令違反が確認されました。
違反事項の中でも最も多いのが「労働時間」に関する違反で、2928事業場中1405件(48%)が労働時間に違反していました。

2. 改善基準告示の違反状況
労働時間などの改善基準を守るべきルールとして「改善基準告示」がありますが、これに違反した事業場は2928件中1706件(58.3%)でした。
主な違反内容は次の通りです:
総拘束時間(働いている時間や休憩時間を含む全拘束時間):979件(33.4%)
最大拘束時間:1269件(43.3%)
休息期間(休息時間の確保が不十分):952件(32.5%)
最大運転時間:628件(21.4%)
連続運転時間:871件(29.7%)

3. 監督指導の背景と課題
労働基準法違反があった事業場は、労働基準監督署の職員が訪問して指導しています。この訪問指導は、労働基準法に関する情報提供が寄せられた事業場が主な対象です。
厚労省によると、「労働時間」に関する問題はここ数年で急に発生したものではなく、従来から続いている長期的な問題です。
違反の原因の一つとして、取引先である「荷主」との関係があり、トラック事業者のみで改善が難しい状況が指摘されています。

4. 荷主対策と協力の取り組み
取引慣行などの影響で長時間労働が解決しにくい背景があるため、2022年12月から都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」が設置されました。
国土交通省の「トラックGメン」も連携して、発荷主(荷物の発送者)や着荷主(荷物の受取人)に対し、労働環境の改善を要請しています。

5. 重大な違反での送検状況
労働基準関係法令の重大・悪質な違反については、2023年には45件の事業場が送検されました(2021年の32件から増加)。

送検された事案の法条文は、労働基準法第32条(労働時間に関する規定)、労働安全衛生法第20条(安全基準)、最低賃金法第4条(最低賃金)に関連するものでした。

今回の監督指導結果から、トラック業界が抱える労働環境の課題が改めて浮き彫りになりました。特に「労働時間」に関する違反が多く、長時間労働を抑制するための取引慣行の改善や、監督指導の強化が求められています。
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