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試用期間中に企業が本採用を見送りたい場合

労務管理

試用期間中に企業が本採用を見送りたい場合

2024年10月31日
試用期間中に企業が本採用を見送りたい場合、企業側が考慮すべき主要なケースと留意点を以下にまとめます。

1. 能力不足
試用期間中の「能力不足」による本採用見送りは、最も一般的な理由の一つです。しかし、「能力不足」と判断するためには、以下のように厳密な基準が求められます:

採用者が未経験者か、経験豊富な中途採用者か。
職務遂行に問題があるか。
十分な指導が行われたかどうか。

2. その他の理由
他に本採用見送りの原因となるケースとして、以下が挙げられます:

入社前の虚偽申告(経歴詐称など)
違法行為
社内規定違反(勤怠不良など)
私傷病による心身の不調
協調性の欠如
これらの理由については、後から発覚した事実や試用期間中の勤務態度に基づいて、客観的に雇用が適当でないと判断できるかどうかがポイントとなります。

3. 試用期間の法的性質
試用期間は「解約権留保付労働契約」に基づくとされ、裁判例では「解約権留保の特約」が付いていると認められています。しかし、解雇の際は合理的な理由があり、社会的通念上適当である必要があります(最大判昭48・12・12三菱樹脂事件)。

4. 本採用見送りの具体的な方法
試用期間中の解雇:合理的かつ社会的に相当な理由が必要。
試用期間満了後の本採用拒否:試用期間満了時に採否を決定するため、解雇リスクが軽減される可能性があります。
試用期間の延長:合理的な理由がある場合のみ可能で、延長期間も社会通念上妥当である必要があります。
退職勧奨:退職勧奨による合意退職は違法ではありませんが、方法次第では退職強要や不当解雇と判断されるリスクがあります。

5. 裁判例からの留意点
日本基礎技術事件:安全配慮が求められる業務における解雇が認められた事例。
ニュース証券事件:短期間での成績不振による解雇が無効とされた事例。

試用期間中の本採用見送りを検討する際は、以上の要点を踏まえ、労働者の適格性判断を慎重に行うことが重要です。
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