東京都江東区にある印刷業の某株式会社が、従業員に支払う時間外労働の、法律が定める水準を満たさない金額で支払っていたとして、労働基準法に違反した疑いで○○労働基準監督署から東京地方検察庁に書類送検された事件を伝えています。
概要と背景
問題の内容:同社は、従業員の時間外労働に対する割増賃金の時間単価を個別に設定し、法定の125%以上の割増率を満たさない金額で支払っていたとされています。
労働基準法の規定:法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合は、時間外労働分に通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払う必要があります。しかし、照栄印刷工業では、ほとんどの従業員に対して割増賃金を100%未満で支払っていたと報告されています。
具体的な問題点
個別に設定された時間単価:同社は、12人の従業員それぞれに異なる割増賃金の単価を設定していましたが、これは従業員の経験年数や業務内容を一部考慮したものであり、法定の基準とは一致していませんでした。また、昇給など基礎賃金の変動も考慮されていませんでした。
属人的な設定:割増賃金の体系的なルールがなく、会社の恣意的な判断で属人的に設定されていたため、法定の割増賃金率を満たしていなかったとされています。
立件対象の期間と労働時間
期間:問題の対象期間は2021年12月から2022年12月までの1年間です。
長時間労働:対象従業員の中には、1か月の時間外労働が約70時間に達するケースもあり、長時間労働が行われていたことも指摘されています。
企業への影響と今後の課題
法的リスク:時間外労働に対する割増賃金の未払いや基準違反は、労働基準法違反にあたり、企業に対して刑事罰や損害賠償請求のリスクが生じます。
今後の対応:企業は割増賃金の支払いについて法定基準を遵守し、従業員の基礎賃金の変動に基づいた適正な割増率を導入する必要があります。