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年次有給休暇(年休)について

労務管理

年次有給休暇(年休)について

2024年11月19日
年次有給休暇(年休)は、労働基準法に基づき、労働者が一定の条件を満たすことで取得できる有給の休暇制度です。この制度の詳細や重要なポイントについて、以下に分かりやすく説明します。

1. 年次有給休暇の目的
年次有給休暇は、労働者が仕事を離れて心身をリフレッシュし、健康維持や生活の充実を図るための権利です。これにより、労働者の疲労軽減やストレス解消が期待され、生産性や職場環境の向上にもつながります。

2. 年次有給休暇の基本ルール
(1)付与条件
年次有給休暇は、次の条件を満たす労働者に付与されます:

雇用開始から6か月以上継続して在籍していること
出勤率が80%以上であること
出勤率には、病気休暇や育児休業など法定の休暇は「出勤した」とみなされます。
(2)付与日数
年次有給休暇の日数は、勤続年数に応じて増加します。

勤続年数 付与日数
6か月経過後 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日
3. 年次有給休暇の取得に関するルール
(1)取得時季の指定
労働者は、自分の希望する時季に年次有給休暇を取得することができます。
ただし、業務運営に大きな支障がある場合、企業は「時季変更権」を行使して休暇の取得時季を変更できます。
(2)時季指定義務
2019年の労働基準法改正により、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、企業は毎年最低5日の有給休暇を取得させる義務があります。
取得しない労働者に対しては、企業が取得日を指定する必要があります。
4. 有給休暇の計画的付与
企業は労使協定を締結することで、年次有給休暇の一部を計画的に付与することが可能です。たとえば、以下のような運用が考えられます:

全社一斉取得日(例:夏季休暇、年末年始)
部署単位での一斉取得
特定の時期の休暇設定
5. 時間単位年休
企業が制度として導入することで、年次有給休暇を「1時間単位」で取得できるようになります。

活用例:病院への通院、子どもの学校行事への参加、急な用事など。
労働者にとって柔軟な働き方が可能となる一方、企業は労務管理をしっかり行う必要があります。
6. 年次有給休暇の取得率と現状
(1)取得率
日本の有給休暇取得率は徐々に改善傾向にありますが、令和3年度の平均取得率は58.3%(厚生労働省調査)。
取得日数の平均は約10.3日で、法律上の最大日数に達していないのが現状です。
(2)課題
中小企業や業務量の多い職場では、労働者が休暇を取得しづらい環境が残っています。
サービス業や運輸業などでは、業務特性上、取得率が低い傾向があります。
7. 年次有給休暇の取得率向上のための取り組み
(1)企業側の工夫
有給休暇を取得しやすい職場環境の整備。
計画的付与や時季指定制度の活用。
管理職やリーダー層が積極的に有給休暇を取得し、周囲に示範する。
(2)労働者側の意識改革
自ら休暇を取得する権利を行使すること。
周囲との調整を行い、計画的に休暇を申請する。
8. 企業にとってのメリット
年次有給休暇を積極的に取得させることで、以下のメリットがあります:

従業員の健康維持:疲労やストレスが軽減され、欠勤率が低下する。
生産性向上:リフレッシュした従業員が集中力を高め、業務効率が向上。
職場定着率の向上:働きやすい職場環境が整い、離職率が低下する。

9. 罰則について
企業が年次有給休暇を付与しなかったり、取得を妨害した場合、労働基準法違反として罰則が科される可能性があります。
罰則内容:労働基準法第39条違反により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金。

年次有給休暇は、労働者の健康や働き方の改善、企業の生産性向上に直結する重要な制度です。労使双方が正しく理解し、適切に運用することが大切です。

年次有給休暇についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
TEL:073-425-6205
E-Mail:akatu-h@leaf.ocn.ne.jp
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