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これからの「働き方改革」について

労務管理

これからの「働き方改革」について

2024年11月20日
「労働基準関係法制研究会」の第14回会合で取りまとめられた「議論のたたき台」の内容を中心に、労働基準法改正に向けた具体的な検討事項です。この検討事項の背景や検討内容に基づいてわかりやすく整理します。

1. 労働基準法改正に向けた背景
「労働基準関係法制研究会」は、労働基準法などの労働時間や労働条件に関わる法律の見直しを議論する場として、2024年1月から始まっています。

今回の改正は、40年ぶりの大規模改正と位置付けられており、現代の労働環境の変化に対応することが目的です。

テレワークや副業・兼業の増加
長時間労働や過労死防止への取り組み強化
労働者の多様なニーズに対応するための柔軟な制度設計
2024年度内(2025年3月末まで)には、最終的な報告書がまとめられる予定です。

2. 「議論のたたき台」で示された検討事項
「労働時間法制」に関連する以下の3つの大きなテーマが取り上げられました。

① 最長労働時間規制(実労働時間規制)
労働者が長時間労働によって健康を害さないよう、働き方の見直しが議論されています。主な内容は以下の通りです。

時間外・休日労働時間の上限規制
時間外労働や休日労働の上限時間を厳しく規制することで、長時間労働を防ぐ措置。

企業による労働時間の情報開示
企業に対して労働時間データを公開させることで、透明性を高め、労働時間の管理を適切に行うことを目的としています。

テレワーク等の柔軟な働き方
テレワークの普及に伴い、柔軟な労働時間管理を進めるため、フレックスタイム制における「コアデイ(必ず働く日)」の設定など、新しい運用ルールが検討されています。

週44時間特例措置の撤廃
中小企業が適用されている「週44時間」の特例措置を廃止し、週40時間の原則を統一する方向で議論が進められています。

実労働時間規制が適用されない労働者への健康配慮
管理職など、労働時間規制の対象外となっている労働者に対しても、健康や福祉の観点から必要な措置を講じることが求められています。

② 労働からの解放に関する規制
労働者が十分な休息を取れるようにするため、休憩・休日に関するルールを見直しています。

13日を超える連続勤務の禁止
過労を防ぐため、労働者が13日以上連続して働くことを禁止する方向で検討されています。

法定休日の特定
休日の基準を明確に定めることで、労働者の休息日を確保しやすくすることが目的です。

勤務間インターバルの義務化
勤務終了後から次の勤務開始まで一定時間の休息(インターバル)を設けるルールを強化し、過労を防止します。

年次有給休暇の運用改善
育児休業復帰後の有給休暇取得時期を柔軟に調整できるよう、運用改善を図ります。
また、有給休暇の賃金支払い方法について、通常支払賃金方式(通常の給与と同じ賃金を支払う方式)を原則化することが検討されています。

③ 割増賃金規制
長時間労働や副業・兼業に関する割増賃金のあり方についても見直しが議論されています。

割増賃金の趣旨・目的の明確化
割増賃金の意義や目的を再確認し、適切なルールの設計を目指します。

副業・兼業における通算ルールの撤廃
現在、副業・兼業の場合、複数の勤務先での労働時間を合算して割増賃金を計算する「通算ルール」が適用されていますが、この撤廃を検討。
→副業・兼業をより促進しやすい制度設計が議論されています。

3. 今後の注目点
「議論のたたき台」で示された内容は、労働時間規制や休息確保といった具体的な課題が多いですが、以下のポイントも引き続き注目されます。

労働基準法における「労働者」や「事業」の概念の見直し
例えばフリーランスやギグワーカーなど、新しい働き方の労働者が法的にどのように扱われるかが重要な論点です。

労使コミュニケーションの在り方
労働条件の改善には、経営側と労働者側の対話が不可欠であり、これを促進する仕組み作りが課題となっています。

年度内の報告書提出
2024年度中(2025年3月まで)には最終報告書がまとめられる予定であり、これに基づき具体的な法改正が行われる見込みです。

4. まとめ
労働時間の柔軟化や休息時間の確保、割増賃金の見直しといった労働環境改善に向けた議論が進められています。

これらの改正内容が実現すれば、労働者の健康確保や働き方改革のさらなる推進につながる一方、企業にとっては新たな対応が求められる場面も増えるでしょう。

今後の議論や法改正の動向を注視し、労働者・企業ともに適切な準備を進めていくことが重要です。

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