今回の裁判例は、定年後再雇用された労働者が「雇止め」を不服として訴えた事例です。裁判の争点は、「再雇用契約が従前と同じ条件で更新される合理的な期待があったか」 でした。以下、簡単にまとめます。
1. 背景
労働者:定年後、週4日勤務・月給30万3600円の条件で1年契約の再雇用。
会社の状況:親会社が子会社を吸収合併し、子会社が解散。
2. 問題点
労働者は「従前の条件で契約を更新してほしい」と要求。
会社側は賃金引き下げなどの新条件を提案:
週5日勤務・月給25万6500円
週4日勤務・時給1200円
労働者は提案を拒否し、契約満了で雇止めとなった。
3. 裁判の結論
一審(東京地裁)と二審(東京高裁)の判断
雇止めは有効と判断。
→ 親会社の提案内容は合理的で、特別な待遇を与える必要はない。
「更新期待」の解釈について
高裁は「更新期待」に条件変更後の更新も含まれると解釈。
→ ただし、労働者が従前の条件で更新される合理的な期待は認められない。
4. 判決のポイント
「更新期待」の解釈が広がった:条件変更後でも更新が認められる場合がある。
会社側の対応:親会社は全再雇用者に統一的な条件を適用しており、合理的である。
5. 今後の影響
この判決により、再雇用契約の「更新期待」や条件変更の妥当性が注目されるようになりました。企業は再雇用契約の設計や更新時の説明をより慎重に行う必要があります。
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