赤津社会保険労務士事務所
お気軽にご相談ください。
 073-425-6205

受付時間 9:00-19:00 [土・日・祝日除く]


お役立ち記事

第3号被保険者制度について

労務管理

第3号被保険者制度について

2024年12月13日
日本の年金制度の一部である「第3号被保険者制度(以下、3号)」に関する議論について説明しています。この制度の廃止が検討されていましたが、今回は廃止されない方針が示された、という内容です。以下に要点をわかりやすくまとめます。

1. 第3号被保険者制度(3号)とは?
概要
会社員や公務員(第2号被保険者)の扶養に入っている配偶者(主に専業主婦・主夫)が対象。

特徴:自分で年金保険料を支払わなくても、基礎年金を受け取れる。
加入条件:扶養者(配偶者)の収入に依存し、例えば年収130万円未満(従業員50人以下の企業の場合)であること。
設立の背景(1985年)
当時、多くの家庭が「夫が働き、妻は専業主婦」という世帯構成だったため、専業主婦にも年金の権利を与える目的で設立。

2. 現状と問題点
現状
3号加入者は1985年に約1093万人いたが、共働き世帯の増加に伴い減少。今年5月時点では約676万人となっている。

批判点

不公平感
働いて保険料を払っている人(第1号・第2号)に比べ、3号は「保険料を払わずに年金を受け取れる」とされ、不公平だと指摘される。
「年収の壁」の問題
年収が一定額を超えると3号から外れ、年金保険料を支払わなければならなくなる。このため、扶養内で収入を抑えようとする「働き控え」の傾向が生じる。
ジェンダー問題
専業主婦の優遇が、男女の賃金格差や働き方の格差を助長すると批判されている。
提言
日本商工会議所や労働組合(連合)などから「将来的な廃止」が求められている。これにより、中小企業の人手不足の解消や、女性の就労促進が期待されている。

3. 廃止を見送った理由
不利益を受ける人が多い
直ちに廃止すると、専業主婦や扶養内で働くパート労働者に大きな負担が生じる。

議論が未成熟
3号の廃止については賛否が分かれており、厚労省の審議会でも意見がまとまっていない。

4. 今後の見通し
当面の方針
厚労省は、3号制度を維持する一方で、パート労働者が厚生年金に加入しやすくなるように要件を緩和する方向で進める。

次回の議論(5年後以降)
年金制度は5年ごとに見直しが行われるため、次回以降に3号廃止の本格的な議論が行われる見込み。

まとめ
この記事のポイントは以下の通りです:

3号制度は、専業主婦や扶養内パート労働者を対象とした年金優遇制度。
不公平感や労働市場への悪影響が指摘されており、将来的な廃止が求められている。
ただし、今回は廃止を見送り、議論は5年後以降に持ち越された。
当面は、パート労働者が厚生年金に加入しやすくなるような環境整備が進められる。
日本の年金制度は、社会全体の少子高齢化や働き方の多様化に対応するため、引き続き変革が求められています。

労務管理全般・年金制度についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
TEL:073-425-6205
E-Mail:akatu-h@leaf.ocn.ne.jp
就業規則に関するご相談・お悩み又はその他労務管理に関するお悩みごとは、和歌山で業歴18年(就業規則が 得意分野)の当事務所にご連絡・ご相談ください。まずは、「無料相談30分」ボタンまたは「お問い合わせ」ボタンをクリックしてみてください。