島根県内で労働基準法などの法令違反が広がっている実態を伝えた内容です。具体的にポイントを整理してわかりやすく説明します。
1. 立ち入り調査の概要
調査対象:労働基準監督署が法令違反の可能性があると判断した1,469事業所。
調査のきっかけとなる情報には、労災請求やその他の違反報告が含まれます。
調査結果:72.9%にあたる1,071事業所で何らかの法令違反が見つかりました。
およそ7割超の事業所で違反が発覚していることから、県内では労務管理や安全管理が不十分なケースが多いことがわかります。
2. 主要な法令違反の内容
安全基準違反(253事業所)
例:高所作業時に転落防止のための措置をしていない。
→ 建設現場や工場などでよく見られるケースです。安全対策を怠ると、労働災害の発生リスクが高まります。
割増賃金に関する違反(197事業所)
例:残業代が正しく支払われていない。
→ 労働基準法では、時間外労働に対して割増賃金(25%以上)を支払う義務がありますが、未払いのケースが発覚しています。
その他の深刻な事例
時間外労働が111時間に達するケース
→ 労働基準法では、時間外労働の限度を定めており、過重労働は従業員の健康を害する重大な問題です。
年次有給休暇の最低限の付与日数を守っていない
→ 2019年の法改正で、年間5日の有給休暇取得が義務化されていますが、これが守られていない事業所もありました。
3. 労働局の対応と見解
島根労働局は、主に中小企業に対して、次のように取り組む方針です。
指導や助言の強化
→ 適切な労務管理の知識が不足している事業所には、改善に向けたアドバイスや指導を行う。
悪質な業者には厳正に対処
→ 法令違反を繰り返したり、改善の意思がない事業所には罰則など厳しい対応をする方針です。
4. 背景と課題
背景:特に中小企業では、労働基準法や労働安全衛生法について十分な理解や対応ができていないことが多いです。人手不足やコスト削減を理由に安全対策や労務管理が後回しになりがちです。
課題:
安全管理の徹底:事故を未然に防ぐための安全対策が不十分な事業所の改善。
労働時間管理の適正化:過重労働をなくし、従業員の健康を守るための対策。
年休取得の促進:有給休暇の適正な管理と付与の徹底。
5. まとめ
島根県内では、労働基準監督署が行った調査で7割以上の事業所で法令違反が見つかり、特に安全基準や割増賃金に関する違反が目立ちました。今後は、中小企業への支援や指導が重要であり、悪質な違反には厳しく対処する方針が示されています。
労務管理の知識を深め、違反を未然に防ぐことが企業側にも求められています。
労務管理全般についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
TEL:073-425-6205
E-Mail:akatu-h@leaf.ocn.ne.jp