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判例

労務管理

判例

2025年2月10日
裁判の概要
千葉県の運送会社で働いていた労働者が、「完全歩合制ではなく、時間外労働の割増賃金を支払ってほしい」と訴えた裁判です。

一審(千葉地裁):会社側の主張を認め、労働者の請求を棄却
二審(東京高裁):会社側の主張を否定し、労働者の請求を認めて約230万円の支払いを命じた
争点
1. 就業規則と違う賃金制度(完全歩合制)の合意は有効か?
会社の就業規則では、賃金は「基本給・諸手当・割増賃金」で構成されると規定されていた。
しかし、会社は労働者に「完全歩合制(運賃の30~70%)」を提示し、労働者も同意していた。
【一審の判断】
労働者は合意している → 問題なし
完全歩合制が必ずしも不利とはいえない → 無効とはならない
給料に変動があったが、労働者は疑問を示さなかった → 事後的に納得していたと判断
【二審の判断】
就業規則と違う労働条件の合意には、客観的・合理的な理由が必要
会社は具体的な説明をしていない(割増賃金の支払い有無・計算方法など)
労働者は有利か不利か判断できなかった
自由意思に基づく同意があったとはいえない → 合意は無効
つまり、会社が十分な説明をしていない以上、「自由な意思で完全歩合制に合意した」とは認められないという判断になりました。

2. 会社の主張「就業規則を周知していないから無効」は認められるか?
会社側は「就業規則を従業員に周知していなかったから、就業規則は無効」と主張しました。

【高裁の判断】
会社は就業規則を労基署に届け出ていた(「就業規則以下の条件で契約しません」と宣言していた)
それなのに「就業規則を周知していなかった」と言い訳するのは許されない
よって、会社の主張は認められない
判決の結論
労働者の主張を認め、約230万円の支払いを命じる
完全歩合制の合意は無効
就業規則を従業員に周知していなかったからといって、その規則を無効にはできない
この判決の影響
この判決は、就業規則と違う条件で雇用契約を結ぶ場合、会社は労働者に十分な説明をする義務があることを改めて示しました。

労働条件を変更するなら、十分な説明をし、労働者が有利か不利かを判断できるようにすることが必要
「就業規則を周知していないから無効」といった会社側の主張は通らない
就業規則に従わない労働条件を強要すると、後から無効と判断されるリスクがある
特に、賃金制度を変更する際には、労働者にしっかり説明し、合理的な合意を得ることが重要という教訓が得られます。

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