【ポイントまとめ】運送会社の「完全歩合制」合意は無効と判断(東京高裁)
裁判の概要
千葉県の運送会社で働く労働者が未払いの残業代を請求。
一審(千葉地裁)は「完全歩合制の合意は有効」として請求を棄却。
二審(東京高裁)は「合意は無効」と判断し、約230万円の支払いを命じた。
争点
会社の就業規則には「賃金は基本給・手当・割増賃金で構成」と記載。
しかし、労働者は「完全歩合制」として雇用され、歩合の割合(運賃の30~70%)で給料が決まっていた。
高裁の判断
会社の説明不足:
会社は「完全歩合制」の詳細や残業代の扱いについて十分な説明をしていなかった。
不利益の可能性:
完全歩合制が就業規則より有利なのか不利なのか、労働者が判断できなかった。
自由意思に基づく合意とは言えない:
労働者がやむを得ず受け入れた可能性があり、合意は無効と判断。
企業の注意点
就業規則と異なる条件で雇用する場合、労働者への十分な説明と合理的な理由が必要。
就業規則を労働者に周知していない場合でも、その内容を下回る労働契約は認められない。
結論
会社の不十分な説明により、労働者が納得したとは言えず、「完全歩合制」の合意は無効と判断された。
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