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1時間の遅刻・早退と残業時間の相殺について

労務管理

1時間の遅刻・早退と残業時間の相殺について

2025年2月20日
1時間の遅刻・早退と残業時間の相殺について(詳しく解説)

遅刻・早退と残業時間の相殺は、一般的に 「時間相殺(時間調整)」 と呼ばれる考え方ですが、 労働基準法上、認められない ケースがほとんどです。
以下、具体的な理由と例を交えて解説します。

1. 労働時間の基本的な考え方
労働基準法では、労働時間に関して 「所定労働時間」と「法定労働時間」 の区別があります。

所定労働時間:企業が就業規則や雇用契約で定めた1日の労働時間(例:9:00~18:00、休憩1時間で実働8時間)
法定労働時間:労働基準法で定める1日8時間・週40時間の上限時間
この考え方をもとに、遅刻・早退と残業の関係を見ていきます。

2. 遅刻・早退と残業時間を相殺できない理由
(1) 残業は「法定外労働」に該当する
残業(時間外労働) は、企業が 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させた場合 に発生します。
これに対し、 遅刻・早退は、そもそも法定労働時間に達していないため、時間外労働と相殺できない という考え方になります。

(例)1日の所定労働時間8時間のケース
項目 労働時間
所定労働時間 9:00~18:00(休憩1時間、実働8時間)
遅刻 10:00出勤(1時間遅刻)
退勤時間 19:00(1時間残業)
実働時間 8時間(9時間 - 休憩1時間)
このケースでは、結果的に「実働8時間」となりますが、残業ではなく、単なる所定労働時間の消化 です。
そのため、 1時間の遅刻と1時間の残業を相殺することはできません。

(2) 時間外手当(割増賃金)との関係
労働基準法では、法定労働時間を超えた分には割増賃金(25%以上)を支払う義務 があります。
仮に、遅刻や早退と残業を相殺してしまうと、本来支払われるべき時間外手当が発生しない ことになり、法的に問題となります。

例えば、

1時間早退した後、1時間残業しても「時間外労働」が発生したことにはならず、残業代の支払い義務がなくなる 。
これにより労働者が不利益を受ける可能性があるため、労働基準監督署の指導対象となる ことがある。
(3) 企業側の裁量による時間調整の是非
企業によっては、 「遅刻・早退分を当日の残業で埋め合わせる(時間調整)」 という運用をしているケースもあります。
しかし、これは 法律上は認められない ため、監督署の指導対象になる可能性が高いです。

3. 例外的に認められるケース
(1) フレックスタイム制の活用
フレックスタイム制 を導入している場合は、1日の労働時間ではなく、清算期間(例:1か月)で総労働時間を管理 するため、
遅刻・早退の時間を後日調整することが可能です。

✅ 例:1か月単位のフレックスタイム制

日付 労働時間
4月1日(遅刻1時間) 7時間
4月2日(1時間残業) 9時間
4月の総労働時間 160時間(1日8時間×20日)
このように、1か月単位で労働時間を管理する場合は、結果的に労働時間が変わらなければ問題にはなりません。

(2) 変形労働時間制の導入
1か月単位の変形労働時間制 を導入している場合も、一定の範囲内で労働時間を調整することが可能です。
ただし、法定労働時間を超えた分は時間外労働扱いになるため、遅刻・早退とは相殺できません。

4. 実務上の注意点
企業が 「遅刻・早退の時間を残業で埋める」運用をする場合、労働基準法違反になるリスクがあるため、慎重に対応する必要があります。

遅刻・早退は欠勤控除や有給休暇の利用で対応
残業時間は適切に管理し、時間外手当を支払う
労働時間の調整を行う場合はフレックスタイム制や変形労働時間制の導入を検討する

5. まとめ
項目 適用可否 備考
遅刻・早退と残業の相殺 ❌(原則不可) 労働基準法上、法定労働時間を超えた時間が時間外労働となるため、相殺できない
フレックスタイム制 ⭕(可能) 清算期間内で労働時間を調整可能
変形労働時間制 ⭕(条件付き) 法定労働時間内で調整可能だが、時間外労働とは相殺不可

企業側としては、就業規則の明確化 や フレックスタイム制の導入 などを検討することで、適切な労働時間管理を行うことが重要です。

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