「労使慣行」と「就業規則」の関係について
1. 労使慣行とは?
労使慣行とは、企業内で長年にわたり繰り返し行われてきた労使双方の合意に基づく運用のことを指します。これは法律や就業規則に明記されていなくても、慣例として定着している場合があります。
例:
毎年、特定の日に慶弔休暇を付与している
定時より早く出勤することが常態化しているが、残業代は支払われていない
退職金の計算方法が長年の慣行で決まっている
2. 就業規則とは?
就業規則は、企業が労働条件や職場のルールを明文化したもので、労働基準法第89条に基づき、従業員10人以上の企業では作成・届出が義務付けられています。
3. 労使慣行と就業規則の関係
就業規則と労使慣行が一致していれば特に問題はありませんが、次のようなケースでは労使慣行が法的に優先される場合があります。
(1)就業規則に記載がない場合
企業で長年にわたって繰り返し行われ、労使双方が認識し、それに基づいて権利・義務が発生している場合、労使慣行が「事実上のルール」として認められることがあります。
例:
就業規則に退職金規程がないが、長年の慣行として退職金が支給されている場合
→ 労働者は退職金を請求できる可能性がある。
就業規則にない手当が長年支給されている場合
→ 一方的に廃止すると「労働条件の不利益変更」と判断される可能性がある。
(2)就業規則と労使慣行が異なる場合
就業規則と異なる労使慣行が定着している場合、実態として労使慣行が優先される可能性があります。
例:
就業規則では「定時9:00~18:00」だが、実際には8:30から業務開始が慣例化している
→ 過去の裁判例では「始業時刻が8:30とみなされる」場合がある。
就業規則では「賞与は会社の業績による」と書かれているが、毎年支給されてきた
→ 継続的に支給されていれば、賞与の支払い義務が発生する可能性がある。
4. 労使慣行を変更する際の注意点
就業規則に明記されていない労使慣行を変更する場合、労働者に不利益となる変更であれば、慎重な対応が必要です。
合理的な理由が必要(経営悪化、法改正など)
労働者代表や労働組合と協議する
一定の周知期間を設ける(突然の変更は無効になる場合がある)
5. まとめ
✅ 就業規則が明確でない場合、労使慣行がルールとして扱われることがある。
✅ 就業規則と異なる労使慣行が長年続くと、労使慣行が優先されることがある。
✅ 労使慣行を変更する際は、合理的な理由と適切な手続きが必要。
実務的には、定期的に就業規則を見直し、労使慣行との整合性を取ることが重要です!
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