✅「同日得喪(どうじつとくそう)」とは?
同日得喪とは、同じ日に社会保険の「資格喪失」と「資格取得」の手続きを行うことです。
一見すると不思議な感じがしますが、目的は 「社会保険料の軽減」 にあります。
✅ どんな人が対象?
主に以下のような人が対象です:
60歳以上の方
一度退職し、同じ日に再雇用される人(例:定年退職後に嘱託社員や契約社員として再雇用)
たとえばこんなケース:
Aさん(61歳)は3月31日で定年退職。その日のうちに会社と再雇用契約を結び、4月1日から嘱託社員として勤務を継続。
→ このように、1日も空けずに再雇用される場合に「同日得喪」を使うとメリットがあります。
✅ なぜこの手続きをするの?
社会保険料(健康保険・厚生年金)は「標準報酬月額(=給与の目安)」によって決まります。
ところが、再雇用後の給与が下がった場合でも、通常は3カ月間は前の高い給与に基づいて保険料を払うことになります(これは「随時改定」というルールの影響)。
▶ これが大きな負担に…
再雇用で給与が減ったのに、
→ 前の給与に基づいて高い社会保険料を3カ月間支払うのはきつい…
▶ でも「同日得喪」なら!
一度退職 → 同日に再雇用
=新たに資格取得 → 新しい給与で保険料が即時反映!
👉 翌月から軽減された社会保険料で済む!
✅ 同日得喪に必要な書類・手続き
必要な手続きは2つ:
退職時の「資格喪失届」
再雇用時の「資格取得届」
※どちらも会社側が手続きすることになります。
✅ 注意点
「形式的な退職」でもOKですが、労使関係が一度終了した形が必要
→ 雇用契約書・就業規則でしっかり証明できるようにする
再雇用後の収入がそれほど下がらない場合は、同日得喪をしてもあまりメリットがない場合も。
年金給付や社会保険の給付額に影響が出ることがあるため、事前に確認が必要
✅「同月得喪」との違い
似た言葉に「同月得喪」がありますが、これは同じ月内で「退職」と「再就職」がある場合で、別物です。
✅ よくある質問
Q. パートやアルバイトでも使える?
A. はい、条件を満たしていればOK。社会保険に加入している人であれば対象になります。
Q. 本当に1日も空けちゃだめ?
A. はい。「同日」でなければ適用されません。1日でも空くと、通常の「随時改定」が必要になります。
✅ まとめ
「同日得喪」は、60歳以上で再雇用される方にとって、社会保険料を軽減できる大切な手続きです。
一度退職 → 同日に再雇用
資格喪失+資格取得を同日に実施
新しい給与で社会保険料をすぐに反映
書類の準備と事前の確認が大事!
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