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判例(東京地裁 令和7年3月27日)

労務管理

判例(東京地裁 令和7年3月27日)

2025年4月25日
【簡単解説】基本給+歩合の支払いが守られていなかった運送会社への判決(東京地裁 令和7年3月27日)
🔹 事件の背景
神奈川県の運送会社で働いていたトラック運転手の労働者が、「未払賃金がある」として会社を訴えた裁判です。

労働者は、売上の一部から「時給分の賃金」を引いた残りだけを「業績給」として受け取っていました。

しかし、会社の就業規則(給与規程)には、「基本給=本給+歩合給」と明記されていました。

🔹 実際の給与の仕組み(会社のやり方)
労働者の**月間売上の34%**が「賃金」として計算されていた。

そこから「時給で計算した額(基本給的な扱い)」を引き、残った金額を「業績給」として支払っていた。

→ つまり、「本給」を別途支払う形にはなっていなかったのです。

🔹 裁判所の判断(東京地裁)
就業規則に「基本給は本給+歩合給」と書いてあるのに、実際には歩合給だけを支払っていたことが問題。

労働契約書に労働者の署名もなく、契約内容も曖昧だった。

たとえ黙示の合意(口頭や行動で合意していると見られるもの)があったとしても、
 それが就業規則の最低基準(=本給+歩合給)を下回っていれば無効。

✅ よって会社は、実際に支払った「業績給」と、本来支払うべき「売上の30%」との差額分を未払賃金として支払う義務があると判断。

👉 支払い命令:約243万円

🔹 その他のポイント
労働者は後に「個人事業主」として契約形態が変更された(令和2年9月~)が、
 この部分については「労働契約ではない」と裁判所は判断。
 したがって、支払命令の対象は変更前(労働契約時)の期間のみ。

🎯 この裁判からの教訓
就業規則に書いたことは最低限守らなければならない。

「歩合給だけ」ではダメ。本給も別に支払う必要がある。

労働契約書はきちんと書面で作成し、署名・押印してもらうことが大切。

黙示の合意があっても、それが就業規則に反すれば無効になる。

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