赤津社会保険労務士事務所
お気軽にご相談ください。
 073-425-6205

受付時間 9:00-19:00 [土・日・祝日除く]


お役立ち記事

雇止め法理について

労務管理

雇止め法理について

2025年6月13日
◆ 労働契約法19条 ― 雇止め法理の明文化
1. 雇止め法理とは?
かつては判例(例:東芝柳町工場事件(最判昭和49.7.22)など)によって形成されてきた「雇止めが制限されるルール」を、平成24年の労働契約法改正で法律に明記したものが19条です。

2. 対象となる有期労働契約(2つの類型)
以下のどちらかに該当する有期労働契約が雇止め法理の対象になります。

(1)反復更新型(19条1号)
過去に何度も更新されてきた有期契約で、

今回の雇止めが、無期契約者に対する解雇と同じくらい重大な影響があると社会通念上判断されるケース。

📌 例:

契約期間1年の契約を5年以上更新し続けてきた。
実質的に「正社員同様の扱い」で働いているような状態。

(2)期待合理型(19条2号)
労働者が**「次も更新される」と合理的に期待していた**場合で、

その期待に客観的な理由があると判断されるケース。

📌 例:

・毎回自動的に更新されてきた
・上司から「来年もよろしく」などと声かけがあった
・長期雇用前提の仕事に従事していた
→などの事情があると「更新期待に合理性あり」とされやすい。

3. 効果(使用者が拒否できない場合とは?)
労働者が以下のいずれかの更新の申込みを行った場合に、使用者がこれを**拒否するには「合理的な理由」と「社会通念上の相当性」**が求められます。

対象となる申込み:
契約期間の満了前までに更新の申込みをした

契約期間満了後、すぐに次の契約を結びたいという申込みをした

▶ 上記申込みに対して、使用者が

客観的に合理的な理由がない

社会通念上も「拒否はおかしい」とされる
ような場合、使用者がその申込みを承諾したものと法律上みなされることになります。

4. 総合的判断要素(期待の合理性・社会通念)
具体的な判断では以下の事情を総合考慮して、更新の期待が合理的か/無期契約に準じるか、を判断します。

判断要素 内容例
臨時性・常用性 その仕事は臨時なのか、常に必要な業務か
更新回数・雇用期間 過去に何回契約更新されたか、何年勤続か
契約手続の実態 実質的に自動更新のような手続になっているか
使用者の言動 「来年も続けてくれ」等、継続雇用の期待を持たせていないか
労働者側の期待 それを信じるのが社会的に無理のない範囲か

◆ 実務上の対応(社労士としてのポイント)
✅ 就業規則や雇用契約書で更新の基準を明記し、形骸化させないこと
✅ 通算契約期間や更新回数の管理を徹底(「通算5年ルール」との併用)
✅ 更新しないときの説明責任を意識(書面通知や面談等で理由を明確に)
✅ 更新時の面談記録・言動に注意(不用意な継続示唆は避ける)

🔍補足:更新拒否が認められる「合理的な理由」とは?
業務量減少や事業所閉鎖

勤務態度不良、成績不良

契約時に明確に期間限定業務であると周知されていた など

雇止めについてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
TEL:073-425-6205
E-Mail:akatu-h@leaf.ocn.ne.jp
就業規則に関するご相談・お悩み又はその他労務管理に関するお悩みごとは、和歌山で業歴18年(就業規則が 得意分野)の当事務所にご連絡・ご相談ください。まずは、「無料相談30分」ボタンまたは「お問い合わせ」ボタンをクリックしてみてください。