◆ 最低賃金制度とは?
最低賃金制度とは、「これ以下の賃金で働かせてはいけません」という賃金の最低ラインを国が定めた制度です。
この制度は「最低賃金法」に基づき、すべての労働者に適用されます(例外あり)。
◆ どのくらいの金額なの?
最低賃金には、次の2種類があります。
種類 内容
地域別最低賃金 都道府県ごとに異なる。全労働者に適用される。
特定最低賃金 特定の産業において、より高い水準が設定されていることがある。
例えば、東京都の地域別最低賃金は令和6年10月時点で「1,113円(予定)」など、毎年見直されます。
◆ 使用者の義務は?
使用者は、次のことを守らなければなりません。
最低賃金額以上の賃金を支払うこと
最低賃金額に満たない契約は「無効」となる
つまり、労使で「時給900円で働いていい」と合意しても、最低賃金が1,000円なら、その契約部分は無効で、「時給1,000円とみなす」ことになります。
◆ 違反するとどうなる?
最低賃金を守らなかった場合には、以下のような罰則や追加支払いがあります。
違反の内容 罰則など
最低賃金より低い賃金を支払った 差額を支払う義務がある
地域別最低賃金を下回る賃金を支給 50万円以下の罰金(最低賃金法)
特定(産業別)最低賃金を下回る賃金 30万円以下の罰金(労働基準法)
◆ なぜ重要なのか?
最低賃金制度は、労働者が生活できるだけの収入を確保するために設けられています。
物価上昇や賃金格差是正など、社会全体の公正なルールづくりに欠かせない制度です。
◆ 実務上のポイント
通勤手当・賞与・残業代などは最低賃金に含めない(原則「毎月定額で支払われる基本賃金」のみで判断)
日給や月給の場合は、1時間あたりに換算して判断
最低賃金を下回る可能性があるパート・アルバイトの賃金設定には特に注意
◆ まとめ
最低賃金は労働契約よりも強い効力を持つ
違反すれば契約は無効、差額支払い義務と罰則
使用者側は最新の地域別・産業別最低賃金を必ずチェック
最低賃金についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
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