🔷 同一労働同一賃金の基本構造
非正規労働者(パート、契約社員、嘱託など)に対して、
仕事内容や責任、異動の範囲などに応じて、合理的な待遇とすること(=均衡待遇)
正社員と全く同じ働き方なら、同じ待遇にすること(=均等待遇)
が求められます。
✅ 「均衡待遇」=バランスの取れた差のある待遇
◉ 意味:
仕事内容や責任、転勤の有無などに差があるなら、待遇に差があってもよいが、その差は合理的である必要があるという考え方。
◉ 具体例:
パート社員:レジ・品出しのみ。責任も軽い。残業や転勤なし
正社員:店舗運営全般、クレーム対応、シフト管理、転勤あり
→ この場合、基本給や賞与、職務手当などに差があるのは合理的とされることが多い。
◉ 注意点:
「ただの雇用形態の違い」や「パートだから」での待遇差はNG。
業務内容・責任・異動範囲の違いを具体的に説明できることが必要です。
✅ 「均等待遇」=仕事内容・責任が同じなら同じ待遇に
◉ 意味:
職務内容・責任・異動範囲が正社員と全く同じであれば、正社員と同じ待遇にしなければならないという考え方。
◉ 具体例:
フルタイム勤務のパート社員(転勤あり)
担当業務、責任、職務内容すべて正社員と同等
→ この場合、正社員と同じ基本給・賞与・手当などを支給すべきとされる。
📝 よく問題になる待遇項目と考え方(具体例付き)
項目 均衡待遇の考え方 均等待遇が求められる場合
基本給 職務・能力の違いに応じた差はOK 同一職務なら同額に
賞与 業績への貢献度に応じた支給ならOK 同一職務なら同額に
通勤手当 原則支給対象(パートも) 同一なら同額に
精皆勤手当 勤務形態に応じた差はOK 同一なら同額に
教育訓練 業務に必要ならパートにも実施を 同一業務なら同内容必須
慶弔金・社食・休憩室など 一般に利用の公平性が求められる 原則すべて同じ取扱い
📌 実務対応のポイント
就業規則・賃金規程の整備
→ 正社員とパートの「業務の違い」や「待遇の理由」を文書化。
説明義務への備え
→ パート社員から求められたら、**待遇差の理由を説明(書面で)**する義務があります。
待遇差の合理性チェック
→ 総合的に「職務内容・責任・転勤の有無」を踏まえ、差が適切か検証。
🧾 参考(行政通達や判例の趣旨)
パートタイム・有期雇用労働法(第8条〜第10条)
長澤運輸事件・ハマキョウレックス事件(最高裁判例)などでは、一律な差別は不合理とされました。
「均衡待遇」と「均等待遇」についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
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