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能力不足を理由にした解雇の有効性

労務管理

能力不足を理由にした解雇の有効性

2025年9月12日
事件の概要

原告(労働者)
大学院を修了して大手素材メーカーに総合職として入社(2012年=平成24年)。
入社後から業務遂行に問題があり、約9年間にわたり複数回の部署異動や支援を受けていた。

会社側の対応

業務の難易度を下げて配置転換を繰り返す

上司との面談を週1回に増加

教育担当者との個別ミーティングを実施

定型的な人事部の業務に就かせる
→ 特別な支援体制を継続的に実施

本人の態度・問題行動

指導に反発して大声・机を叩く・暴行

自分の勤務不良を「上司の指導不足のせい」にする

不適切なメール(誹謗中傷・業務無関係な内容)を繰り返し送信

社内の部外秘データを勝手に公開

同僚を盗撮
→ 自省的な態度がなく、規範意識も欠如

人事評価の経過
入社時:総合職の中で大学院卒相当(E2・R5)
→ 一度昇格するも、その後4回降格
→ 最終的に(令和2年時点)E3・R3(下位ランク)

会社の提案

総合職から一般職への転換を打診(本人拒否)

解雇
2021年(令和3年)8月、能力不足を理由に解雇。

裁判所の判断(東京地裁)

解雇は有効 と判断。

理由は以下のとおり:

会社は9年間にわたり、配置転換・業務水準の引き下げ・特別支援を実施し、雇用継続のための努力を尽くした。

それでも改善の見込みは乏しかった。

労働者の勤務不良だけでなく、指導に反発する問題行動や規範意識の欠如も解雇を正当化する要素となった。

よって「社会通念上相当である」として、解雇を適法とした。

この裁判のポイント

日本では「能力不足」だけで解雇が有効とされるのは非常に珍しい。

多くの場合、会社の指導不足や配置転換の努力不足が問題視される。

しかし今回のケースでは、会社が長期間にわたり 「できる限りの支援・指導をした」 こと、
さらに本人に 問題行動・規範意識の欠如があった ことが決定的だった。

わかりやすくまとめると

「会社は9年間も手を尽くしたのに改善しなかった。しかも本人は反省せず問題行動も多かった。だから解雇は仕方ない」と裁判所が認めた、極めて珍しい“能力不足解雇が有効”とされた裁判例です。

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