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「事業場外勤務のみなし労働時間制」とは

労務管理

「事業場外勤務のみなし労働時間制」とは

2025年10月7日
「事業場外勤務のみなし労働時間制」は、営業職などで労働時間を正確に把握できない仕事に使われる制度です。
法律(労働基準法第38条の2)に基づく、特殊な労働時間の扱い方です。

🔹基本の考え方

通常は、会社が労働者の始業・終業時刻を把握し、その間を労働時間とします。
しかし、たとえば次のような仕事では、外で働いていて上司の目が届かず、
「何時から何時まで働いたか」が分からない場合があります。

外回りの営業職

出張中で1人で行動する技術職

客先で1日仕事をするサービスエンジニア など

こうしたケースで、労働時間を正確に測れないときに使うのが
👉 **「事業場外みなし労働時間制」**です。

🔹制度の内容
法的な定義(労基法38条の2)

労働者が事業場外で業務に従事し、労働時間を算定することが困難な場合には、
「所定労働時間」または「通常必要とされる時間」だけ働いたものとみなす。

つまり、
実際に何時間働いたかではなく、
**あらかじめ決めた時間(=みなし時間)**を働いたことにするのです。

🔹みなし時間の決め方

みなし時間は、次のいずれかになります。

ケース みなされる時間
会社の所定労働時間(例:1日8時間)に相当する場合 所定労働時間(8時間)
実際に通常その業務に必要な時間が明らかに長い場合 その「通常必要な時間」(例:10時間)

👉 例)
営業担当者が外回りで一日中お客様を訪問している。
事務所では8時間勤務だが、営業職は実質10時間くらい必要。
→ この場合、「1日10時間みなし」と設定できます。

🔹「算定困難」のポイント(要件)

この制度は**「いつでも使える」わけではありません。**
次の条件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
① 事業場外での業務 外出して仕事をしていること(事務所外での勤務)
② 労働時間の算定が困難 会社が労働時間を管理できない状況にあること
③ 使用者の指揮命令が及ばない スマホ・GPS・オンライン指示などで逐一管理されていないこと
🔹使えないケースの例(注意!)

みなし制を使ってよいのは、「本当に管理できない」場合だけです。
次のようなケースではみなし制は使えません。

スマホやチャットで上司が逐一指示している

営業日報で訪問時間が明確に管理されている

勤務先や得意先で勤務時間が決まっている

→ これらは「労働時間を算定できる」ため、
 通常の労働時間管理が必要です。

🔹割増賃金との関係(残業扱い)

「みなし時間」を超えて実際に長く働いた場合は、
その**超えた分は時間外労働(残業)**として扱います。

例:

みなし時間=8時間

実際は12時間かかった(出張や渋滞など)

→ 超過の4時間分については、**時間外割増賃金(25%以上)**を支払う必要があります。

🔹導入のポイント(就業規則に明記)

導入するには、就業規則に以下を定めておくことが必須です。

対象となる業務の範囲

みなす労働時間の長さ

管理方法(報告や日報の取り扱いなど)

🔹まとめ
項目 内容
制度名 事業場外みなし労働時間制(労基法38条の2)
対象 外回り営業など、労働時間を把握できない仕事
要件 外での業務・時間算定が困難・指揮命令が及ばない
みなし時間 所定時間または通常必要な時間
注意点 実際にみなし時間を超えたら残業扱い
就業規則 対象業務とみなし時間を明記することが必要

事業場外勤務のみなし労働時間制についてのご相談・お問合せ先
赤津社会保険労務士事務所
代表:赤津秀夫
〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上3-1-39
TEL:073-425-6205
E-Mail:akatu-h@leaf.ocn.ne.jp
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