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人的資本経営について

労務管理

人的資本経営について

2024年6月4日
人的資本経営とは
人的資本経営は、企業の成長と価値向上を目指して従業員の能力や経験、意欲に投資する経営手法です。これは従業員を単なる労働力としてではなく、企業の重要な資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことを目指します。

人的資本の定義
「人的資本」とは、従業員が持つ以下のような要素を資本として考えることです。

能力: 専門知識やスキル
経験: 業務経験や実績
イノベーションへの意欲: 新しいアイデアや取り組みへの積極性
人的資本は「無形資本」に分類され、有形資本(機械や建物などの物理的資産)とは異なります。

ISO30414による人的資本の11領域
国際標準化機構(ISO)は2018年に「人的資本に関する情報開示ガイドライン」ISO30414を発表しました。これにより、人的資本は以下の11の領域に細分化されています。

倫理とコンプライアンス: コンプライアンスの状況(苦情や懲戒処分の件数など)
コスト: 労働力コスト(人件費、採用費など)
ダイバーシティ: 労働力の多様性(年齢、性別、障害者数など)
リーダーシップ: 従業員の管理職への信頼度、リーダーシップ開発
組織風土: 従業員意識と定着率(エンゲージメント、満足度など)
健康・安全・幸福: 労災などの安全指標
生産性: 1人当たりの利益や売上
採用・異動・離職: 離職率や内部登用率など
スキルと能力: 人材開発や研修のコストと時間
後継者計画: 後継者候補の準備状況
労働力: 従業員数、外部労働力、欠勤率など

企業の人的資本経営の具体的取り組み
企業が人的資本経営を実践するためには、以下のような取り組みが必要です。

従業員の教育と研修: スキルアップやキャリア成長を支援するためのプログラムを提供
職場環境の改善: 健康、安全、働きやすさを重視
ダイバーシティ推進: 多様な人材を積極的に採用し、活躍できる環境を整備
リーダーシップ育成: 将来のリーダー候補を育成するためのプログラム
開示義務と企業の判断
ISO30414の指標については、開示義務はなく、企業がどの項目を開示するかは各企業の判断に委ねられています。しかし、政府は企業に人的資本に関する情報開示を求めるようになってきています。具体的な開示項目については各企業が選択することができますが、透明性を高め、投資家や利害関係者に信頼されるためには適切な情報開示が重要です。

まとめ
人的資本経営は、企業が持続的な成長を目指すための重要な経営手法です。従業員の能力や経験に投資し、その価値を引き出すことで、企業全体の競争力を高めることができます。企業はISO30414に基づいた人的資本の領域を考慮し、適切な指標を用いて情報開示を行うことが求められます。
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