労働条件の明示義務について
基本的な義務
労働契約を結ぶ際には、企業は労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなければなりません。これは口頭でも有効ですが、書面での明示が推奨され、具体的な明示事項は労働基準法施行規則で定められています。
労働条件通知書
労働条件通知書には、明示すべき事項が記載されていれば、形式は自由です。雇用契約書や就業条件明示書と一体化した形式も認められています。
適用範囲
この義務は正社員だけでなく、パートやアルバイトなど全ての雇用形態に適用されます。新規採用時だけでなく、契約更新や再雇用時にも必要です。
違反時の罰則
労働条件を明示しなかった場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。さらに、明示した条件が事実と異なる場合、労働者は即時に契約を解除できる権利があります。
2024年の改正の背景
働き方改革の一環
改正の背景には、多様化する雇用形態に対応するための働き方改革があります。
有期契約労働者の無期転換への対応
企業が有期契約労働者を5年以上雇用した場合、その労働者が希望すれば無期労働契約に転換することができます。これを無期転換ルールといい、2013年に規定されましたが、無期転換の申込権を行使する労働者は少数にとどまっています。そのため、このルールの認知と理解を促進することが求められています。
無期転換申込機会の明示
企業は無期転換申込機会について労働者に明示する義務があります。これにより、労働者が無期転換の権利を行使しやすくなります。
改正の目的
認知と適用の促進
無期転換ルールの認知度を高め、労働者が適切に権利を行使できるようにすることが目的です。
企業は労働条件の明示を確実に行い、労働者の権利を守ることが求められています。特に2024年の改正では、有期契約労働者の無期転換ルールの認知と適用が強化されることが重要なポイントです。