電気工事会社の社員2人が駐車場から現場への移動時間が労働時間にあたるとして賃金の支払いを求めた裁判について
事件の概要
会社: 電気工事を行う会社。
社員: X1さんとX2さん。
訴え: 駐車場から現場への移動時間が労働時間にあたるとして賃金の支払いを求めた。
裁判所の判断
基本的な労働時間の定義: 労働時間とは「会社の指揮命令下に置かれている時間」。
駐車場から現場への移動時間: 労働時間と認められなかった理由は以下の通り:
移動時間中の車内ですべき作業がなかった。
現場への直行直帰が認められていた。
X1さんとX2さんがひとりで直行直帰することもあった。
労働時間と認められたケース
日勤から夜勤への直行移動: 会社の指示により移動が必要とされた場合。
現場での作業後にミーティングへの移動: 会社の指示により移動が必要とされた場合。
これらのケースでは、移動が会社の指揮命令下に置かれていると判断され、労働時間として認められました。
裁判の結果
X1さん: 約105万円の支払いを命じられた(割増賃金約74万円+遅延損害金約30万円)。
X2さん: 約54万円の支払いを命じられた(割増賃金約40万円+遅延損害金約13万円)。
裁判所の判断のポイント
移動時間の判断基準: 移動が会社の指揮命令下に置かれているかどうか。
具体的な指示の有無: 集合場所や解散場所が任意の調整に委ねられていたかどうか。
労働時間に該当するかどうかの判断が、会社の指揮命令下に置かれているかどうかに基づくことを示しています。具体的なケースを検討することで、どのような移動時間が労働時間として認められるかを明らかにしています。